あまりの暑さに少し外出するだけでも汗が噴き出てくるような暑さのこの時期、脇汗を気にしている方も多いのではないでしょうか。
実は脇汗は『ボトックス』で抑えることができるのです。
電車のつり革を掴むのがツライ、グレーなど汗ジミの目立つ色の服が着られないなどの脇汗のお悩みは今、解決しましょう。
■それって多汗症かも?保険適応で施術できる人って?
脇汗は多かれ少なかれすべての人に必ず発生するものですが、その汗の量が多く、日常生活に支障をきたすレベルの方は『腋下多汗症(えきかたかんしょう)』という病気かもしれません。
一般的に腋下多汗症と診断される基準は、『原因不明の過剰な局所性の発汗が6か月以上持続している』ことに加え、以下の6項目中2項目以上を満たす場合に『多汗症』と診断されます。
①最初に症状が出たのが25歳以下である
②対称性に発汗がみられる
③睡眠中は発汗が止まっている
④週に1回以上多汗によるエピソードがある
⑤家族歴がある
⑥これらによって日常生活に支障を来たす
※『原発性局所多汗症診療ガイドライン2015年改訂版』より引用
このような症状を抑えるためにはいくつか方法がありますが、『多汗症』と診断された場合、その施術方法によっては保険適応になる場合もあります。(※当院は保険診療は行っておりません)
今回は発汗を抑える方法のひとつ『脇のボトックス注入』について詳しくみていきましょう。
■なぜ脇汗にボトックスが効くの?効果と持続を解明
そもそも汗は、アセチルコリンという物質が汗腺に『汗を出せ』という指令を出すことで発汗するしくみです。ボトックスには、このアセチルコリンを抑制する働きがある為、発汗を押さえることができるのです。
まれに、脇汗を抑えることで体温調節に影響が出るのではないか?と思われる方もいらっしゃいますが、脇汗は全身の汗量で見るとごく微量にしかすぎません。ですので、脇汗を抑えることで体温調節機能に影響が出たり、健康を害することはまずないと思っていただいて大丈夫です。
■脇ボトの注入量はどれくらいが目安なの??痛いって本当?
脇のボトックスは、両脇でおよそ50単位~100単位程度を注入します。
脇全体にボトックスを注入するので、注射針で脇を刺すのは回数でいうと約20回程度でしょうか。もちろんこれは脇の大きさや範囲、注入するドクターによっても多少前後しますので、あくまで大体の目安であるということを覚えておいてくださいね。
脇ボトックスでは上の写真のように、脇に目印となるマーキングをしてから注入を行います。
施術の際は痛みを感じにくい細い針を用いることや、施術前にしっかりと脇をお冷やしすることでも痛みは軽減されますよ。
■脇ボトックスの効果はいつまで?
脇ボトックスは、注入して約1週間~2週間かけてじわじわと効果を発揮します。持続期間は約3ヶ月程度なので、夏の間だけ脇汗を抑えたいという方におすすめですよ。
また、ボトックス注入施術はヒアルロン酸の注入とは違い、注入してすぐに効果を得られるものではありません。ですので、しっかりボトックスが効いていると実感できるまで時間がかかったように感じる方もいらっしゃいます。感覚は個人差によるところが大きいので、あくまで目安ということを覚えておいてくださいね。
効果の持続期間も同様、ある日突然効果が切れるというわけではなく、時間経過とともに効果が薄れていきます。『なんとなく汗の量が増えてきたな』という感覚から、気づいたら元に戻っているというようイメージでいると分かりやすいかと思います。
脇のボトックス注入も、あくまで一時的な治療なので、先ほどご説明した『多汗症』に当てはまる方は根管治療として外科手術も検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに外科手術とボトックス治療は保険適応可能な施術ですよ!
※当院では保険診療及び脇の外科手術は行っておりません。
■制汗剤の使用は皮膚の炎症に注意
脇汗でお悩みの方は、脇ボトックスや外科的な手術の前におそらく1度は制汗剤を使ったことがあるのではないでしょうか。
制汗剤とは、スプレーやスティックなどを脇に直接塗ることで汗を抑えたり匂いを抑えたりできる商品です。薬局などで普通に購入でき、安価なので手が出しやすい商品ですよね。
しかし、制汗剤を使用することで逆ににおいや肌荒れの原因になることもあるということを知らない方もたくさんいらっしゃいます。
市販の制汗剤には、塩化アルミニウムという成分が含まれていることが多いのですが、その仕組みは塩化アルミニウムが汗管(汗を出す管)を塞ぐことで汗を出さなくするというものです。しかし、汗の出口を塞いでいるだけで汗そのものが出なくなるわけではないので、根本的に解決しないどころか汗疹(あせも)の原因になったり皮膚の炎症を引き起こすことにもなりかねません。
実際に制汗剤の使用で肌荒れが起きたという方は少なくありません。特に敏感肌の方には刺激となりますので、炎症が起こりやすいでしょう。
これらのことを踏まえて、制汗剤の使用はおすすめしません。
脇汗で悩んでいる方こそ、クリニックで外用薬治療やボトックス注入、外科的手術を行うことをおすすめいたします。